ビジネスの未来を変える「Vertex AI Agent Builder」入門編
指示待ちAIから自律型エージェントへ
入門編 , 実践編ではプロンプトエンジニアリングによる「AIへの指示の出し方」を紹介しました。
今回はその一歩先、「自律的に動くエージェント(AI社員)の作り方」に焦点を当てます。
単なる「AIに聞く」から「AIに任せる」──Googleの Vertex AI Agent Builder を使い、業務を自動遂行するエージェントをどうビジネス現場に根付かせるかを解説します。
実践テクニック1:ゴール駆動型指示(Goal-Based Instructions)
エージェント構築において、手取り足取り手順を教える必要はありません。重要なのは「最終的な目的」を定義することです。 そこで有効なのが「達成すべきゴールを言語化するプロンプト」。
例 「挨拶をしてから、用件を聞いてください」
「次に、マニュアルを探してください」
「最後に、回答してください」
「あなたは社内ヘルプデスクです。ユーザーの疑問を解決し、満足してもらうことがあなたのゴールです」
→ ゴール(目的)を定義することで、AIは会話の流れが変わっても臨機応変に対応し、自律的に解決策を探るようになります。
実践テクニック2:グラウンディング(Grounding)の設定
AIの回答はもっともらしく嘘をつく(ハルシネーション)リスクがあります。これを防ぐには「根拠データ(グラウンディング)」を設定します。
例 「一般的な知識で回答してください」
「Googleドライブ内の『2026年度_就業規則』および『経費精算ガイドライン』のみを根拠として回答してください」
こうすることで、AIは社内の正しいルールに基づいた「確実な答え」しか返さないようになり、業務での信頼性が劇的に向上します。
実践テクニック3:ツール連携(Action)の活用
回答だけではなく「システム操作」まで任せることで、業務スピードが加速します。 APIや外部ツールと連携させ、AIを「オペレーター」に進化させます。
例 「会議室が空いているか教えてください」
「ユーザーが希望する日時の会議室の空き状況をカレンダーから検索し、空いていればそのまま予約してください」
会話の中で予約や申請などの「アクション」が完結するため、人間が別のシステムを開く手間がゼロになります。
実践テクニック4:禁止事項とペルソナの定義
エージェントに「やってはいけないこと」を教え、企業の顔としての振る舞いを調整するのがコツです。
例 「あなたはフレンドリーなアシスタントです」
「あなたは法務部のアシスタントです。常に敬語を使い、断定的な法的助言は行わず、必ず弁護士への相談を促してください」
→ リスク管理をしつつ、読み手(ユーザー)に適切なトーン&マナーで接することができます。
実践テクニック5:会話シミュレーション(テスト)
作ったままにするのではなく、実際の会話を想定してプレビュー画面でテストすることで「想定外」を潰せます。 あえて「意地悪な質問」を投げかけ、エージェントの挙動を修正します。
実際のUI画面
今回は、サブエージェントなど設定していますが中身は設定していません。AIに作業分担をしてほしい時や場合分けなどしてほしいときなど様々なAIを用いて実行できます。
以上のように、様々な設定内容を記載してカスタマイズできます。他にも設定値が様々あったりしますので適宜調整します。
すぐ使える応用テンプレート例
- 社内FAQ・規定検索エージェント
- データソース: 就業規則、ITマニュアル、経費規定(PDF/Docs)
- ゴール: 社員の自己解決率を高め、管理部門への問い合わせを減らす。
- 営業ナレッジ検索+提案書ドラフト作成
- データソース: 過去の提案書アーカイブ、顧客事例集
- ゴール: 顧客の業界に合わせた最適な事例を提示し、提案書の叩き台を作る。
- 一次対応カスタマーサポート
- データソース: 製品ウェブサイト、QAリスト
- ゴール: 基本的な質問に即答し、解決しない場合のみ有人対応へ誘導する。
社内展開のステップアップ
個人・小チーム活用 → 特定業務のPoC 「FAQ対応」など、リスクが低く効果が見えやすい領域からスモールスタート。
特定業務 → 部門連携 人事データと総務データを連携させるなど、複数のデータソースを横断したエージェントへ拡張。
部門連携 → 全社展開(ガバナンス) 社内ポータルに「エージェント一覧」を設置し、誰でも業務を依頼できる環境を整備。
おわりに
Vertex AI Agent Builderは、エンジニアだけのツールではなく、ビジネスパーソン自身が「自分の分身」を作るためのツールです。 今回の実践テクニックを取り入れれば、AIは単なる相談相手から、仕事を完遂してくれる“頼れる部下”になります。
次のステップは「AIを使う」のではなく「AIに任せて、人は判断する」。 ビジネスの現場で、この新しい働き方をぜひ体感してください! エージェント同士が連携するマルチエージェント機能なども進化してきているのでまたの機会に触れたいと思います!!
(DAIKI MAEDA)