ID棚卸しはなぜ必要?目的と効率的な方法をご紹介
多くのシステムを併用して利用することが一般的である昨今では、ID棚卸し業務の負荷が大きく、各部門とのやり取りなどで大変な思いをされている方が多くいるのが現状です。ID棚卸しは、IDの情報を正確に保ち、不正アクセス防止や必要な情報にすぐアクセスできる環境を整えるためにも重要な作業です。
今回の記事では、ID棚卸しがなぜ必要なのかとID棚卸しが抱える課題を解説しています。また、ツールの導入によるメリットや導入時の注意点も紹介しているため、ID棚卸しの業務負荷で悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
ID棚卸しは利用システムの増加とともに負荷が大きくなり、さらに各部門とのやり取りなども発生し、大変な思いをされている方が多くいるのが現状です。しかしながら、IDの情報を正確に保ち、不正アクセス防止や必要な情報にすぐアクセスできる環境を整えるためにも重要な作業です。
今回の記事では、ID棚卸しがなぜ必要なのかとID棚卸しが抱える課題を解説しています。また、ツールの導入によるメリットや導入時の注意点についても紹介します。
ID棚卸しとは?
ID棚卸しとは、企業内で管理される従業員のID情報が正確であるかを定期的に確認し、セキュリティを維持するための重要なプロセスです。ID棚卸しでは、現社員のIDがすべてそろっているか、退職者のIDが削除されているか、異動があればそれに応じた情報の更新がされているか、また権限の付与が適切かなど、さまざまな項目をチェックしなければなりません。
ID棚卸しの方法には、従業員自身に確認を依頼する方法や、従業員から最新情報を取得し、それをもとに現行IDと照らし合わせる方法などがあります。実施頻度は企業により異なり、年に1度の場合もあれば、数カ月ごとに行う企業も存在します。
また、ID棚卸しには第三者の承認を得ることが必要です。第三者が介在したID情報の正確な精査によって内部不正を防げます。
ID棚卸しが必要とされる理由
ID棚卸しが必要とされる理由は、必要なタイミングで適切な情報へアクセスできるかどうかが業務にとって重要なためです。ID棚卸しが実施されず情報が古いまま放置されている場合、適切なアクセス権限が付与されていないために情報が得られず、業務に支障をきたす恐れがあるでしょう。
また、異動や退職により本来は権限が削除されるべきIDが残ってしまうと、不正アクセスのリスクが生じることもあります。
近年では、クラウド経由のアクセスやリモートワークの普及にともない、ID管理が複雑化しています。そのため、セキュリティ強化のためにも、ID棚卸しの重要性が増しています。
ID管理とID棚卸しの違い
ID管理とID棚卸しは、どちらもID情報の正確性を保ち、セキュリティを確保するために行われますが、役割に違いがあります。
ID管理は、アカウント情報の作成や変更、削除などのタイミングで更新を都度することで、IDの適正な運用を図ることが目的です。新規登録時には最低限の権限を付与し、変更や退職の際には速やかに更新・削除を行うことで、不正アクセスのリスクを未然に防ぎます。
ID棚卸しは、定期的にID情報が正しいかを点検するチェック作業です。ID棚卸しは、ID管理で見落としがあった場合に発見し、修正する役割を担います。ID管理は予防的統制を目的とし、ID棚卸しは定期的な精査による発見的統制が可能となるため、組織のセキュリティ強化にはいずれも欠かせません。
ID棚卸しの課題
ID棚卸しには次の3つの課題があります。
- ヒューマンエラー発生の可能性
- 過去ログを確認できない
- 各部署への連絡に手間がかかる
それぞれの課題の詳細をみていきましょう。
ヒューマンエラー発生の可能性
ID棚卸し作業では、管理するIDや取り扱うアプリケーション、システムが増えるほど、権限の付与や確認作業が複雑になり、ヒューマンエラーが発生するリスクが高まります。
管理者の判断や手入力ミスが原因で、誤って不必要な権限が付与されることや、必要な権限が削除されないなどのミスが起こり得るでしょう。さらに、Excelなどを活用した手作業のID棚卸しでは、数多くのデータを扱う中で入力ミスや確認漏れが発生しかねません。
過去のログを確認できない
ID棚卸しを手作業で実施している場合、変更履歴は自動的に記録されません。そのため、後から過去のログを確認できず、問題が発生した際に対応が難しくなる課題があります。誰がいつどのIDに権限を付与・削除したかを把握できないと、不正アクセスの調査やミスの原因究明が困難になるでしょう。
履歴を手動で作成する方法もありますが、多くの時間と手間がかかり、担当者の業務負荷が増大するため、現実的には難しい面があります。
各部署への連絡に手間がかかる
ID棚卸しでは、各部署に対して情報収集を行い、その内容を確認・反映する一連の作業に大きな手間がかかります。複数の部門との連携が必要で、情報提供依頼後の進捗確認や、各部門からの問い合わせ対応など、細かなコミュニケーションも発生するため、担当者にとっては負担が大きくなりがちです。
このような手間を削減するためには、情報収集や進捗確認を効率化できるシステムやツールの活用が効果的です。業務負荷を軽減するためにも、ID棚卸し全体の業務を効率的に進める必要があります。
ID棚卸しにツールを使うメリット
ID棚卸しにツールを使うことによって、次のメリットが得られます。
- 作業時間を短縮できる
- ヒューマンエラーが少なくなる
- 進捗が可視化できる
それぞれのメリットをみていきましょう。
作業時間を短縮できる
ID棚卸しにツールを導入することで、作業時間を短縮できます。手作業による入力などの単純作業が自動化・効率化され、必要な工数が大幅に削減されるでしょう。
ID棚卸に利用できるツールはいくつかありますが、クラウドを利用したIDaaSがより有用な方法です。IDaaSを利用すると、複数のシステムにわたるIDを一元管理できるため、システムごとに個別のID棚卸しを実施する必要がなく、一括で棚卸しが行えます。
ヒューマンエラーが少なくなる
ツールを使えば、管理担当者は複数の部門から集めたデータを一元管理できるため、情報の見落としや記入漏れなどのミスを軽減できるでしょう。また、各部門がデータを入力する際も、部門専用の入力フォームをWEB上で提供することで、膨大なデータから自部門の項目を探す手間が省けます。
さらに、自部門のフォームに直接入力できるため、ほかの部門用の欄に誤って入力するリスクも防げることがメリットです。
進捗が可視化できる
ID棚卸しにツールを導入することで、作業の進捗が可視化され、管理がしやすくなります。
ツールによってアカウント情報を一括して抽出しすることで、システムごとに形式などが異なることもないため、未入力の箇所、部門について把握しやすくなります。
データの提供や収集がしやすい環境により、進捗も可視化しやすくなります。
IDaaSであれば、人事情報などの源泉データとシステムアカウントを紐づけて管理できるため、手作業での照合と比べてミスの発生が抑えられ、正確な棚卸しが可能な点もメリットです。
ツール導入の注意点
ツールを導入する際は、次の内容に注意しなければなりません。
- 機能や連携できるサービスに差がある
- 知識や技術レベルに合ったツールを選ぶ
それぞれのポイントを解説します。
機能や連携できるサービスに差がある
IDaaSをはじめとしたID棚卸が可能なツールを導入する際には、ツールごとに搭載されている機能や連携できるサービスに差がある点に注意しなければなりません。ツールによっては別のシステムと連携できない場合もあり、連携できるシステムの種類も限られることもあるでしょう。
導入前に自社が使用しているシステムを洗い出し、IDの棚卸だけに利用したいのか、SaaSの管理が必要なのか、シングルサインオンなどの認証連携をしたいのか、など、どのような目的で利用するのかを確認することが重要です。また、自社にとって必要な機能がそなわっているかもあわせて確認し、適切なツール選びを行うことが求められます。
知識や技術レベルに合ったツールを選ぶ
多機能なツールであっても、担当者のスキルが追いついていなければ十分に活用できません。ID棚卸しを行う担当者が使いこなせるか、操作が容易かどうかも選定時の重要なポイントです。
また、担当部門がツールを適切に使用できるよう、定期的な勉強会や研修を実施することで、自社の知識や技術レベルを向上させる取り組みも必要となるでしょう。自社のレベルに合わせたツール選定により、機能を十分に活用し、効率的かつ正確にID棚卸しを行える環境を整えられます。
まとめ
今回の記事では、ID棚卸しの必要性や目的を解説しました。ID棚卸しとは、企業内で管理される従業員のID情報が正確であるかを定期的に確認し、セキュリティを維持するための重要なプロセスです。
クラウド経由のアクセスやリモートワークの普及に伴い、セキュリティ強化のためにも、ID棚卸しの重要性が増しています。
ID棚卸しをはじめとしたID管理の負荷にお悩みの方は、ぜひ、サイオステクノロジーにご相談ください。
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