Power Automate承認フローでつまずく理由と運用の現実【最新版】
「Power Automateで承認フローを作れば簡単に業務が自動化できる」
そう考えて導入した企業は多いですが、運用フェーズに入ると管理負荷や属人化の問題に直面するケースが少なくありません。
本記事では、なぜPower Automateの承認フローが途中で行き詰まりやすいのか、そしてどの時点で再設計や別ツールを検討すべきかを整理します。
目次
Power Automateは「すぐ作れる」反面、運用設計は必須
Power Automateの強みは、トリガーとアクションを組み合わせるだけで比較的較的短時間でフローを作成できる点です。現場部門から見ても「まずは作ってみる」ことがしやすいツールです。
一方で、この「作りやすさ」は、承認業務において次のような前提条件が暗黙的に置かれています。
・フローの数が限定的である
・修正や管理を行う担当者が固定されている
・承認ルートや業務要件が頻繁に変わらない
これらの前提が成り立っている間は、大きな問題になりません。しかし、申請件数やフロー数が増え、承認業務が部門を超えたり、ドライブや特定のファイルにデータを自動で追加するなどの運用が広がっていくと、Power Automate は「簡易ツール」ではなく、情シスが管理すべき「業務システム」として扱う必要が出てきます。
次の章では、承認業務に Power Automate を適用した際に、運用フェーズで顕在化しやすいリスクを整理します。
承認業務で顕在化する運用リスク
Power Automate を承認業務に利用していくと、構築時点では問題なく動いていたフローが、運用フェーズで徐々に負担になってくるケースがあります。
特に情シスや管理部門の立場で見ると、次のような点が課題になりやすくなります。
1. アカウント依存による属人化
Power Automate のフローは、基本的に作成者の Microsoft 365 アカウントに紐づいて管理されます。
共有設定や所有権移譲は可能ですが、運用ルールを定めていない場合、作成者の異動や退職時に適切な引継ぎが行われなかったり、フローがブラックボックスと化し、修正できずに作り直す必要が生じるなどのリスクがあります。
2. 組織変更時のメンテナンス負荷
承認者をユーザー単位で設定していると、人事異動や組織改編のたびに複数のフローを修正する必要があります。
小規模であれば対応できますが、全社利用になると情シスの運用負荷が急激に高まります。
3. 複雑な承認要件への対応限界
合議承認や金額条件による分岐、差し戻し・再申請といった日本企業特有の承認要件は、Power Automate でも実装自体は可能です。
しかし、フローが複雑化するほどメンテンナンス管理工数が増え、「動かし続けること」が難しくなっていきます。
Power Automate が適しているケース
Power Automate は、Microsoft 365 に標準で組み込まれており、比較的シンプルな承認業務をすぐに自動化できる点が強みです。特に、以下のような条件では有効な選択肢となります。
- 限られた部門内で完結する、小規模な申請・承認業務
- 勤怠申請や支払依頼など、承認ルートが固定されている業務
- 現場主導で利用し、情シスが深く運用に関与しない前提の業務
「まずは承認業務を自動化してみたい」「Microsoft 365 の機能を活かして試したい」といった初期フェーズでは、導入のしやすさが魅力です。
見直しを検討すべきサイン
一方で、Power Automate を承認基盤として使い続ける中で、次のような兆しが見えてきた場合は、運用設計の見直しや別の選択肢を検討するタイミングと言えます。
- 承認者が10人以上に増え、条件分岐や合議など、複雑なフロー設計が必要になってきた
- 承認ルートの変更や項目修正の依頼が情シスに集中し、メンテナンス負荷が高まっている
- 部門ごとにフローが乱立し、全社として利用状況や統制状態を把握できない
- 内部統制や監査対応を意識した、履歴管理や権限制御が求められるようになった
この段階では、「作れるかどうか」よりも「安全に・継続的に運用できるか」が課題になります。
Microsoft 365 環境における現実的な使い分け
Microsoft 365 環境では、すべての承認業務を 1 つのツールで完結させようとするよりも、業務の性質や運用規模に応じてツールを使い分ける考え方が現実的です。
- 簡易な承認・部門単位の自動化:Power Automate
- Teams 内で完結する軽量な申請・通知:Teams Workflows
- 全社的な承認基盤・複雑な承認設計:専用ワークフロー製品(例:グルージェントフロー)
グルージェントフロー(Gluegent Flow)は、Microsoft 365 や Teams と連携しながら、 複数人承認、条件分岐、差し戻し、人事異動の反映といった要件を前提に設計された専用製品です。
Power Automate での運用が難しくなってきたフェーズで、比較検討されるケースが多く見られます。
まとめ:Power Automate の利用は運用設計が明暗を分ける
Power Automate には、
- すぐに使い始められる
- 学習コストが低い
- Microsoft 365 との親和性が高い
といった明確なメリットがあります。
一方で、長期運用や全社統制を前提にすると、 「どこまでを Power Automate で担い、どこからを専用ワークフローに任せるか」 という役割分担が、承認業務の成否を左右します。
承認フローが全社的な業務の基盤になりつつある場合は、グルージェントフローのような専用製品も含めて選択肢を整理することが、結果的に運用負荷とリスクを抑える近道になります。
▶Teams WorkflowsとPower Automateの違いと、承認業務で限界が来る理由
▶Microsoftで使えるワークフローとは? Teams・Power Automateでできることと、運用で判断が必要になるポイント
FAQ:Power Automate承認フローに関するよくある質問
Q1. Power Automateは無料で使えますか?
Microsoft 365の一部として基本機能は利用できます。ただし、Premiumコネクタや高度な機能を使う場合は有料ライセンスが必要です。
→ ライセンス詳細
Q2. 承認フローの待機期間に制限はありますか?
はい、最大30日間です。これを超える場合はフローを分割する必要があります。
→ 承認フローの既知の制限
Q3. フローの所有者が退職した場合どうなりますか?
フローは作成者に紐づくため、退職すると管理不能になるリスクがあります。サービスプリンシパル名(SPN)をオーナーに設定することで回避できます。
→ フロー所有権とアクセス
Q4. Power Automateで全社承認基盤を構築できますか?
基本的には不向きです。ガバナンス・監査・権限管理を後付けで対応する必要があり、運用コストが高くなります。
→ ガバナンス設計
Q5. APIやアクション数に制限はありますか?
はい、日次APIリクエスト数やアクション数に上限があります。無視するとエラーや停止の原因になります。
→ Power Automateガイダンス