事例から読み解く、総務が1カ月で電子稟議を実現したリアルな手順

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事例から読み解く、総務が1カ月で電子稟議を実現したリアルな手順
 目次

はじめに:IT初心者でも「1カ月で電子化実現」が可能な理由

「電子稟議」と聞くと、「新しいITシステムなんて難しそう……。」と身構えてしまいませんか?

実はこれ、単なるシステム導入ではありません。「ハンコをもらうために社内を歩き回る」「誰のところで止まっているか探す」といった、毎日のちょっとした“面倒”を見直して、私たちの働き方をグッとラクにするための取り組みなんです。

システム導入を成功させる要点のひとつは、「最初から完璧を目指さず、まずはシンプルな構成で始める」ことです。多機能で大規模なシステムを一度に導入しようとすると、初期設定や現場への周知に時間がかかり、スムーズに電子化が進みません。

一般的に、電子稟議システムの選定から利用開始までの期間は3〜6カ月が目安とされています。しかし、従業員規模が50名以上300名以下で、かつシンプルな承認フローである場合、段階的に進めることで1〜2カ月での運用開始も十分に可能です。

本記事では、IT部門がない企業でも実践可能な、1カ月間での電子化に向けた具体的な手順をご紹介します。

1. スムーズな導入のための大原則:業務整理とスモールスタート

いきなりシステムを選定しない

新しいツールを検討する際、まずは機能比較に時間を割きがちです。

しかし、システムの設定よりも「社内ルールの再設計」に時間がかかるケースが多いため、まずは現行業務の棚卸しを行うことが推奨されます。導入がスムーズに進んでいる企業の共通点は、「業務のルールを整理してからツールを当てはめている」という点にあります。

電子化を進める上でのポイント

  • 小さく始める(スモールスタート):一気に全社・全種類の申請を電子化するのではなく、まずは「1種類の稟議」を「1つの部署」だけで試行します。
  • 「今のまま」にこだわらない:既存の紙の運用をそのままデジタルシステムに置き換えると、かえって操作が煩雑になることがあります。承認段階の削減や分岐ルールの明確化など、電子化に適した形へルールを整理することが重要です。
  • 経営層の後押しを得る:導入を現場任せにすると、従来のやり方に固執して進まない場合があります。「今後は電子決裁を通さないものは認めない」など、経営層からの方針表明があると導入がスムーズに進みます。

2. 総務が実践した「リアルな1カ月スケジュール」

ITの専門知識がない場合でも、設定が容易なクラウドツールを利用することで、以下のようなスケジュールでの進行が可能です。

【1週目】現状の「見える化」

まずは、現在の稟議書を基に、申請から最終承認まで「誰から・誰宛に・どの順番で」回しているか、承認ルートを書き出します。

この段階ではルールの改善は行わず、まずは「紙の流れ」をそのまま可視化します。

【2週目】ツールの選定とフォーム作成

「操作が分かりやすいか」「スマートフォンから承認できるか」といった視点でクラウドツールを選定します。

選定後、既存の稟議書の項目をシステムの入力フォームに設定します。「紙に手書きする作業」を「画面に入力する作業」へ置き換えるイメージで進めます。

【3週目】試験導入(テスト運用)

特定の1部署に限定し、選定したシステムを使って実際に稟議を回してみます(期間は1週間程度)。

実際にテスト運用を行うと「想定外の例外ルート」などが見つかるため、現場からのフィードバックを収集し、設定やフローの修正を行います。

【4週目】全社展開と周知徹底

試験導入で確立した手順を他部署へ展開し、「紙の稟議を廃止する日」を明確に設定します。

現場への案内は分厚いマニュアルではなく、「承認ボタンの押し方」が分かる1枚の簡易ガイドを用意すると、利用の定着に繋がります。

3. 総務部が陥りやすい3つの失敗と回避策

電子化の過程で生じやすい課題と、その回避策を事前に把握しておくことが大切です。

失敗1:紙の運用をそのままシステムで再現する

  • ×NG 操作が煩雑になり、かえって時間がかかるようになる。
  • 〇OK これを機に不要な承認プロセスを見直し、シンプルなルールに作り直す。

失敗2:最初から全種類の申請書をシステム化しようとする

  • ×NG 選択肢が多すぎて現場が迷い、システム利用のハードルが高くなってしまう。
  • 〇OK 頻度の高い2〜3種類の申請に絞ってスモールスタートし、操作に慣れてから徐々に種類を増やしていく。

失敗3:例外ルールをシステムに組み込もうとする

  • ×NG 設定が複雑になりすぎ、結局「例外は紙で処理する」という事態になる。
  • 〇OK すべてをシステム化しようとせず、例外的なケースにおいては、関係者に補足情報を伝えられるようにコメント欄を設けるなどの仕組みを用意しましょう。

おわりに:総務部の役割は「業務設計者」へ

電子稟議の導入が完了した後も、総務部はシステムの「管理者」として、承認時間の測定やフローの継続的な見直しを行うことが求められます。

「外出先でもスマートフォンで承認できる」「過去の書類を探す手間が省ける」といった電子化による実務上のメリットを現場へ共有していくことで、スムーズな運用定着と業務効率化に繋がります。