Teams承認アプリを卒業すべき?承認フローの成熟度診断

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Teams承認アプリを卒業すべき?承認フローの成熟度診断
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Teams承認アプリの限界は、高度化の証

Teamsって便利ですよね?ちょっとコミュニケーションはもちろん、情報共有やMTG設定など様々なビジネスシーンに活躍します。当然、Teamの承認アプリも多くの方が利用されているでしょう。しかし、どうせなら上長確認だけはなく、関係者への事前案内、さらにはファイル閲覧権限付与による情報共有、承認の証跡保存など関連業務をすべて、Team承認アプリで構築できれば・・・と考えたことはありませんか?

本記事では、Teams承認アプリ利用を検討している方や利用中の方に向け、承認フローの成熟度(どこまで高度化しているか)を診断。次の一手としてどのような手段が考えられるのかを解説します。

はじめに。対応領域を広げると露呈する、Teams承認アプリの限界

限界1 監査とガバナンス対応には不向き

Teams承認アプリの履歴として、件名・申請者・承認者・申請内容・添付ファイル・ステータス(承認/却下/保留)・コメント等が、Microsoft Dataverse に保存されます。しかし、申請内容など、管理者であっても一括で見ることはできません。申請内容は申請者と承認者のみが閲覧できる仕様のため、監査やガバナンス対応には不向きと言えるでしょう。

限界2 複雑な条件分岐・多段階承認への対応不可

申請額に応じた承認ルートの自動切り替え(条件分岐)や、部門長、役員など複数の承認ステップを経る必要がある多段階承認など、複雑な承認フローは、Teams承認アプリだけでは実現できず、Power Automateを使った承認フローを組むか、専用のワークフローシステムが必要です。

限界3 二重入力や転記の発生

申請・承認プロセスがTeams内で完結しても、その結果を会計システムや人事システムなどの基幹システムへデータ連携できなければ、手動で入力しする二重入力という二度手間が発生します。せっかく申請内容として入力したデータを捨てていることになります。

Teams承認アプリの限界を目の当たりにし、Teams承認アプリを用いない方が良いのか、卒業すべきなのか、自社の承認フローの成熟度(どこまで高度化しているか)を測ってみましょう。「承認フロー成熟度チェックリスト」をご活用ください。

【自己診断】組織の承認フロー成熟度を測る10の質問

自社の承認フロー・承認プロセスが、Teams承認アプリで対応可能なレベルを超えていないかを判断するための、具体的な質問を行います。成熟度(高度化)の目安を基準に、当てはまる項目に「✓」をつけ、合計いくつ当てはまるか調べてみましょう。

No.

診断項目

成熟度の目安

診断ポイント

チェック

1

月間の承認依頼件数

50件以上

処理量:件数が多すぎると、滞留や見落としのリスクが増大し、管理が困難になります。

2

承認フロー完了までの平均所要時間

24時間以上

効率性:ワークフローのボトルネック化は、業務全体の停滞を招きます。

3

承認フローの平均ステップ数(多段階承認)

3ステップ以上

複雑性:ステップが多いほど、分岐や差し戻しのロジックが複雑になり、専用ツールの必要性が高まります。

4

承認後に、別途システム登録する承認業務の割合

20%以上

連携性:手動入力によるミスのリスクが増大します。

5

条件分岐(申請額や部門別)がある承認フローの割合

20%以上

複雑性:単純なフローでは対応できない高度なロジックが求められているかを測ります。

6

過去1年間で監査対象となったプロセス数

1件以上

ガバナンス:監査要件を満たす証跡管理が必要です。

7

申請者/承認者が利用するデバイスの多様性

Teams以外(ブラウザ、モバイル)の利用率30%以上

柔軟性:Teamsに縛られず、社内外で承認・申請したいという現場のニーズがあります。

8

申請データの入力フォーム項目の平均数

5項目以上

データ管理:入力項目が多い場合は不備や漏れのリスクがあり、入力制御できるフォームを勧めます。

9

添付ファイルがある承認フローの割合

10%以上

機能要求:同一画面でのプレビューなど、(DLやリンクではなく)即座に確認したい現場ニーズがあります。

10

ワークフロー管理の月間工数(時間)

5時間以上

管理負荷:設定変更、権限管理、トラブル対応など、ワークフロー運用に時間を割くか測ります。

Teams承認アプリの卒業や不採用を推奨する、判断ポイント

上記の10の質問で、3つ以上の項目にチェックを入れた場合、自社の承認フローは高度化された状態にあり、成熟度の目安を超えています。承認フロー・承認プロセスのワークフロー化は、すでにTeams承認アプリの限界に達しており、別手段での実現を検討すべきです。

診断結果に基づく、次アクション

診断結果に基づき、取るべき次アクションを3つのステージに分けて提案します。

チェックした項目が、 0~2個
成熟度【低】:Teams承認で十分。ただし拡張性への準備を

状況: 承認件数は少なく、フローもシンプルで直線的なものが多い。

推奨アクション: Teams承認アプリの対応で良いでしょう。しかし、ワークフロー化の対象範囲を広げるなど、今後の展開に備えPower Platform(Power Automate、Power Apps)のスキルを磨いておきましょう。

チェックした項目が、 3~6個
成熟度【中】:限界が近い。Teamsに頼らない別手段を検討すべき段階

  • 状況: 承認条件が複雑化したり、処理量増による負担が顕在化している。
  • 推奨アクション: Microsoft環境を活かし、高度化したワークフローを実現しつつ、申請・承認業務の効率化を図るために、2つの手段を検討し始めましょう。
    • 手段1:Power Automate 、Power Apps、SharePointを組み合わせ、高度なワークフローを自社構築する。
    • 手段2:Microsoft365の拡張アプリケーションとして利用できる、専用のワークフローシステム導入を検討する。

チェックした項目が、 7~10個
成熟度【高】:Teamsでは無理。今すぐ、専用ワークフローシステム導入を

  • 状況: 運用負荷が深刻化し、ガバナンス課題も抱えている可能性が高い。
  • 推奨アクション:Power Automate 、Power Apps、SharePointを組み合わせ、高度なワークフローを自社構築という手段では、開発工数や運用負荷が増大し、逆に非効率になるリスクが高いでしょう。この段階では、複雑な承認フローを実現でき、監査やガバナンス要件を満たす、専用のワークフローシステムを導入することを強くお勧めします。

▶ 専門ワークフローシステムが解決する課題

  1. 監査証跡とコンプライアンス: 申請から承認までの全過程を不可逆的に記録し、第三者によるレビューに耐えうる堅牢なログを自動生成し保存します。
  2. 柔軟な承認フロー構築: 合議、多数決、多段階承認など、日本ならではの商習慣にも対応し、複雑な承認条件や承認フローも設定できます。
  3. システム連携: 会計、ERP、人事システムなど、API連携により、データの自動投入や同期を実現。二重入力や転記の手間を無くします。

ちょっとブレイク:Microsoft365連携

Microsoft365の拡張アプリケーション、ワークフローシステム「グルージェントフロー」

グルージェントフロー はMicrosoft365アカウントを用い、TeamsやSharePointなどM365アプリと連携し業務を効率化するワークフローシステムです。従業員は使い慣れた環境でワークフローを利用できるため、導入の混乱が少なくスムーズに定着します。当然、アカウントの二重管理は不要。添付ファイルのドライブ自動保存や、申請内容をエクセルへ自動で書き出すことができ、業務の効率化、自動化にも有効です。Microsoft365と連携するグルージェントフロー詳細はこちらから。

統制のとれた業務効率

診断結果は、いかがでしたか?Teams承認アプリ卒業を勧められましたか?ここでは改めて、ワークフロー導入のメリットを確認しましょう。ワークフローは、現場の雑務を効率化するだけでなく、企業の業務と業務プロセスを整備し、組織力を高められます。

ワークフローシステムの効能

  • 内部統制リスクの極小化: 透明性の高い承認フローや、ログデータの蓄積などにより、不正を抑止し、コンプライアンスリスクを削減できます。
  • 定型業務の迅速化: 社内稟議や社内申請、手続きなど、確認や承認フローを自動化でき、結果として定型業務にかかる時間を短縮できます。
  • 従業員満足度の向上:申請・承認業務にかかる時間と手間を削減でき、事務作業を減らせます。また、ステータスを確認できるため、承認待ちや決裁遅延など気がかりに対し、心理的な側面も解放されます。

類似事例 プロジェクト管理ツールの限界からワークフロー導入へ
BeeX 様

プロジェクト管理ツールで社内稟議や社内申請を回すことに限界を感じたBeeX様は、Microsoft365と連携するワークフローシステム「グルージェントフロー」を導入しました。その結果、申請/承認にかかる時間を60%程度に削減成功。さらに、以前は絶えなかった入力漏れや承認者設定のミスが、ほぼ無くなり入力の手間が減っただけではなく、正確性が高まった。BeeX様への取材記事はこちら

まとめ:ワークフローで、業務と業務プロセスの整備を実現

さぁ、診断結果を元に、次アクションへと勧めましょう。Teams承認アプリの簡便性を活かしつつ、3つ以上の項目にチェックを入れた方は、ぜひ、専用のワークフローシステム導入の検討に着手しましょう。いつでも、お手伝いいたします。