複雑な承認ルートを克服:内部統制と効率化を実現するワークフローシステムの設計と機能
日本の企業における「承認ルート」や「承認フロー」は、海外と比べて複雑になりがちです。
具体的には、
・関わる人が多い: 申請の確認をする人や、承認する人など、関係者が多くなる
・ステップが多い: 承認までに多くの手順(工程)を踏む必要がある
・ルールが複雑: 申請する金額や内容によって、承認する人が変わることがある
このように複雑な承認ルート(合議・回覧・決裁など)を把握しながら、会社内の申請書類(稟議書)を作成したり管理したりするのは、管理部門や総務部門にとって大きな負担です。特に会社が大きくなるほど、関わる人が増え、稟議・申請システムを導入することや、システムに反映し続けることが難しくなる心配があります。
この記事では、こうした複雑な承認ルートに対応するために、ワークフローシステムの承認経路の設計について説明します。そして、その具体的な解決策となる「グルージェントフロー (Gluegent Flow)について解説します。
目次
承認ルート・承認フローの定義
承認ルート・承認フローとは、誰が申請し、誰がその申請を承認し、その後誰が決裁するのかという経路やプロセスを指します。
紙の稟議書や申請書をイメージした場合、申請者が起案し、上長や承認者・決裁者へ回覧され、最終的に社内決裁が下ります。
ワークフローシステムでは、このルートを設計するために、人と判断アクション(承認・却下・差し戻しなど)を各プロセスごとに設定します。承認ルートには、有給休暇申請のようなシンプルな2ステップのものから、数百万円の物件購入のように多数の確認・承認・合議を経て決裁者の判断を仰ぐ、複雑で複数ステップを踏むものまで存在します。
ワークフローで承認ルートを正しく設計する目的
ワークフローシステムで承認フローを正しく設計する目的はいくつかありますが、主に以下の3つの視点から解説できます。
1. 内部統制の強化と証跡の確保
ワークフローシステムで承認ルートを正確に設定すれば、全従業員が同じルールのもとで社内手続きを行うことが可能になります。これにより、適切な意思決定プロセスを経るという、内部統制が取れている状態を実現できます。
いつ、誰が、何を申請し承認したかという証跡(履歴)が明確化されて蓄積されるため、万が一の場合も追跡可能となり、適切な管理下にあると言えます。
2. 不正・改ざんリスクの抑止
承認フロー・承認ルートが未整備な環境では、申請の度に承認者や決裁者が異なる事態が発生し、申請者が誤提出しやすいだけでなく、承認者が不正や粉飾、情報改ざんを行えるブラックボックス化のリスクが生じます。
ワークフローシステムで承認ルートを正しく設定し、承認者や決裁者を適切に指定し明確化することで、不正決裁や粉飾、情報改ざんを抑止でき、リスク対策として有効に機能します。
3. 承認の滞留防止とリアルタイム管理
「稟議がどこで止まっているか分からない」という事態は、ワークフローシステムで承認ルートを正しく設定することで解消されます。
- リアルタイムステータス確認: 申請がどこのプロセスまで進んだのか、どこで滞留しているのかをリアルタイムで確認でき、不必要に時間や手間をかける必要がなくなります。
- 代理承認者の設定: 事前に代理承認者を設定しておけば、承認者が出張や休暇で不在であっても承認フローが止まることなく、決裁へと進めることができます。
複雑な承認ルートに対応するワークフローの解決策
弊社が提供するワークフローシステム グルージェントフロー は、複雑な承認ルートの管理における多くの課題を解決します。
1. 経路設定と管理の柔軟性
複雑な組織構造や人事異動に柔軟に対応し、管理者・申請者の負担を軽減します。
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課題 |
グルージェントフロー による解決策 |
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申請時に承認者を都度設定しなければならない。 |
承認ルートを事前設定できるため、申請者が都度設定する必要がない。 |
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人事異動や組織変更の度に承認者を修正する手間がかかる。 |
承認者や決裁者を特定の個人だけでなく、「部署や役職」で設定できる。社内規定が変わらない限り設定修正は不要。 |
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承認ルート内のステップ数に上限があり、大規模なルートを設定できない。 |
ステップ数の上限がない。決裁後の後工程(事後対応)まで含めた一連の流れを設計可能。 |
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兼務者がいるとそれぞれの部署に登録する必要があり、二重管理になっている。 |
複数の部署に1人の人を所属させる設定が可能。兼務者は申請時にどちらの部署に関する稟議かを選択できる。 |
2. 申請フローの動的制御と高度なセキュリティ
申請内容や状況に応じて、自動でフローを変化させたり、情報閲覧を制限したりすることが可能です。
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課題 |
グルージェントフロー による解決策 |
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金額や内容によって条件分岐ができず、都度自分で選ばなければならない。 |
金額や申請内容に応じて、自動で分岐する設定が可能。生成AI搭載のユーザーアシスト機能により、ITリテラシーに関わらずかんたんに設定できる。 |
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承認ルート上にいる人に特定の項目を見せたくないが、現状全て見えてしまう。 |
承認ルートのステップ毎に、申請フォーム項目の表示・非表示の設定を行える。例えば、個人情報を含む申請で、特定の承認ステップでは詳細を非表示に設定可能。 |
3. 情報連携と追跡性の確保
申請の状況を明確にし、関連するすべての関係者への情報共有をサポートします。
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課題 |
グルージェントフロー による解決策 |
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申請が承認ルートのどこにあるか確認できない。 |
自分の申請リストを確認する一覧画面が用意されている。該当の申請がどの工程まで進んでいるかをリアルタイムで確認可能。通知機能により、プロセスが進む度にメール通知を受け取ることも可能。 |
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申請から確認、決裁へと進めている最中に、途中で承認者の追加ができない。 |
回覧途中に承認者を追加できる。情報共有先として承認後に人を追加することも可能。 |
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承認ルートに入っていない人に情報を共有させることができない。 |
承認ルートに入っていない人にも情報共有できる仕組みがある(経路の途中や最後に自動メール通知、または該当稟議書類の閲覧権限の付与)。 |
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承認履歴がフォーム画面から確認できず、2つの画面をいったりきたりしないといけない。 |
申請フォームと同一画面で、誰がいつどの判断を行ったかの履歴が掲載される。また、疑似押印の形でフォームに履歴を表示することもでき、一覧で確認可能。 |
まとめ
ワークフローシステムで承認ルートを正しく設定することは、内部統制やリスクマネジメントの強化に直結します。
特に、合議や条件分岐、多数決など、複雑なフローへの対応がワークフロー管理において大切であり、統制強化と柔軟性の両立が求められます。
今回ご紹介したように、グルージェントフロー は、これらの複雑な課題に対応し、稟議・申請の電子化を効果的に進めるための機能を提供しています。
承認プロセスの設計・維持・管理に課題をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。



