Slackと連携できるワークフローシステムで
複雑な承認フローの運用を実現

  • 仕組み化
  • 内部統制

社内稟議や定型業務の効率化に、Slackの活用を検討されている方も多いかと思います。本記事では、まず、Slackの承認フローの設定手順を分かりやすくご紹介。その上で、Slackの承認フローで「できること」と「できないこと(限界)」を明確に整理し、複雑な社内稟議などにも対応できるワークフローシステムという選択肢も提示します。Slackの承認フローの利用を検討している方は、ぜひご一読ください。

Slackと連携できるワークフローシステムで
 目次

Slack承認フローの基本:作成手順と利用シーン

まず、Slackの「承認フロー」とは具体的にどのような機能で、どのようなシーンで利用するのが適しているのかを見ていきましょう。ご利用のSlackのバージョンや仕様によっては、詳細な手順が異なる可能性があります。ここでは、作成の概要や大きな流れを捉えていきましょう。

Slackの承認フローは、主にワークフロービルダー機能を使って作成します。これは、特定の操作をきっかけに一連の自動アクションを実行する機能です。

Step 1. ワークフローの新規作成

  1. Slack左上のワークスペース名をクリック
  2. 「ツール」→「Workflow Builder」を選択
  3. 「ワークフローを作成」ボタンをクリック
  4. 名前を入力(例:◎◎申請
  5. 保存

Step 2. トリガー(開始条件)を設定

ワークフローを「どのように始めるか」を決めます。
おすすめは「フォーム送信」または「ショートカット」です。

トリガー設定例:「ショートカット」

  1. 「トリガーを追加」→「Slackショートカット」
  2. 名前を入力(例:「◎◎申請を送信」)
  3. どのチャンネルで利用できるかを指定(例:#◎◎申請
  4. 保存

Step 3. 入力フォームを作る

  1. 「ステップを追加」→「フォームを送信」
  2. ◎◎申請に必要な項目を追加します:
項目名 種類 入力例
品名 テキスト 「ノートPC」など
金額 数値 「120,000」
申請理由 テキスト(複数行) 「社用PCの買い替え」

 3. 保存

Step 4. 承認依頼メッセージを送信

1.「ステップを追加」→「メッセージを送信」
2.送信先を「特定ユーザー(承認者)」に設定(例:部長)
3.メッセージ内容を次のように設定:

申請が届きました!
品名:{{品名}}
金額:{{金額}}円
理由:{{申請理由}}
承認または却下を選んでください。

4.「ボタンを追加」で以下を作成:
  ボタン1:承認
  ボタン2:却下

Step 5. ボタンアクションで分岐させる

  1. 「承認」ボタン → 新しいステップ「メッセージを送信」
     → 申請者へ送信:「あなたの購入申請が承認されました!」
  2. 「却下」ボタン → 新しいステップ「メッセージを送信」
     → 申請者へ送信:「× あなたの購入申請は却下されました。」

Step 6. テスト & 公開

  1. 「テストを実行」ボタンで実際に送信してみる
  2. 入力内容・承認フロー・通知の動作を確認
  3. 問題なければ「公開」して運用開始

Slack承認フローの限界:なぜ稟議に不向きなのか

前述のとおり、Slack承認フローは簡易的なプロセスには有用ですが、社内稟議のような法的・経営的な重みを持つプロセスを運用するには限界があります。

1. 証跡・監査対応の脆弱性

稟議書は、意思決定の公式な証拠として、長期的な保管と容易な検索、そして改ざん防止が必須です。

・証跡の散逸: Slackのメッセージは基本的にフロー情報であり、時間が経つと埋もれてしまい、検索性や管理性が低下します。
・監査対応: 誰が、いつ、何を承認したかの履歴(ログ)は残りますが、公式な文書管理システムとしての機能(版管理、厳格なアクセス権限など)はありません。
・改ざんリスク: フォームやメッセージベースのため、テキストの編集や変更が容易なため、申請内容と承認記録の整合性を厳密に保つことが難しく、改ざんリスクがあります。

2. 承認ルートの複雑性への対応の限界

社内稟議では申請内容や金額によって「課長 → 部長 → 役員」といった多段階かつ条件分岐(例:30万円以上は役員承認が必要)する複雑な承認ルートが必要です。日本の商習慣に則り、合議制や複数部署への回覧が必要なケースもあるでしょう。一方、Slackのワークフロービルダーは直線的な流れの自動化が得意であり、複雑な条件分岐や経路設計に対応するには限界があります。

まとめ:Slack承認フローと機能の限界

要素 ワークフロービルダーでの設定 機能の限界(稟議との比較)
申請方法 フォームで統一。 フォームの入力形式や入力制御は限定的。
申請内容 フォームで必要な情報を記入させ、次のステップ(承認者へのメッセージ)で申請内容を自動挿入できる。 申請内容をデータとして、保存され蓄積されない
承認依頼 メッセージで承認者に通知。 メッセージが流れるため、他の未対応の案件に埋もれやすい
承認/却下 押されたボタンで次のアクションを分岐。 多段階承認条件分岐は設定が複雑化し、設計も管理も難しい。
証跡 承認・却下の履歴はSlackのログとしては残る。 改ざんリスクがあり、長期的な公文書管理監査対応には不十分。

結論:社内稟議には専用の「ワークフローシステム」の採用を推奨

ワークフローシステムが解決できる課題

課題 Slack承認フロー ワークフローシステム
複雑な承認ルート 困難。直線的なフローが基本。 柔軟な分岐設定、複数の経路ステップを実現可能可能。
証跡管理・監査 困難。メッセージが可変。 長期的な申請内容の保存と蓄積、さらに承認履歴(いつ、誰が)を保全。
申請書の統一 フォームで対応可能だが、入力制御が限定的。 複雑な入力制御、きめ細やかなレイアウトを実現。

Slackは、チーム内の「ちょっとした確認」を簡便にするツールとして活用しましょう。「正式な意思決定」はワークフローシステムに集約させ、監査対応や内部統制強化に活かしましょう。

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