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時間のかかる稟議を通すための3つのポイント

  • 稟議書
  • 電子化

稟議を通すことに時間がかかると、組織としての意思決定が遅れ、業績や経営に影響が出るなどの損失をもたらします。また個人単位では物事が計画どおりに進められなかったり、自分の業務にしわ寄せが来たりして残業が増えるなどの問題も起こります。 ここでは、稟議が通るまでの時間を短くするためのポイントをご紹介します。

時間のかかる稟議を通すための3つのポイント
 目次

稟議とは

稟議の意味

そもそも稟議とは何でしょうか。稟議とは、「官庁や会社などで、主管者が承認を求めたい事項について文書で決定案を作成し、関係者に回付して承認を求めること。所定の重要事項について、決裁権限を持つ重役などに決裁承認を求めること」です。決裁承認を求めるための書類が稟議書です。

稟議の目的

稟議の目的は、重要事項の決定や案件を進行するにあたって、組織としての承認を得ること、また承認を得たことを履歴に残すことです。承認者は組織の代表ということになりますが、すべての決裁を経営層が行うのは効率的でないため、通常は役職と決裁範囲を組織で定め、「決裁権限表」に従って、役員・部長・課長が決裁し、組織の承認として扱います。

稟議書の種類

稟議書にもさまざまな種類があり、以下の稟議が多く利用されています。

稟議書の種類

購入稟議 備品や消耗品などを購入するときの稟議
出張稟議 出張するときの稟議
外注稟議 自社で実施できない業務を外部に委託するときの稟議
契約稟議 取引先との取引の開始や、取引に関する契約を締結するときの稟議
採用稟議 人を新たに採用するための稟議

稟議のメリット

稟議を通じて決裁を得ることは、会議を行わず文書の回覧で進行できるため、複数名が顔を合わせる必要のある会議よりは効率的です。また関係部署への周知も徹底でき、後から覆されるリスクは低くなります。

稟議のデメリット

一方で、稟議は会議よりは効率的であるものの、複数名の承認や合議が必要なため、口頭承認やメール承認よりは時間がかかるという点があります。また書き方についてあまりに細かいルールを定めてしまうと、稟議の作成自体に時間がかかり、なかなか進めることができないという問題も起こります。

今回はそんな稟議を通すためのポイントをご紹介します。

稟議が通らない、稟議に時間がかかる原因

稟議が通らなかったり、稟議を通すのに時間を要する原因は何でしょうか。内容そのものややり方、組織の慣習など原因はいろいろあると思いますが、ここでは個人に起因するものと組織に起因するものに分けて考えてみます。

個人に起因する、稟議が通らない・時間がかかる原因

稟議に必要な情報を網羅できていない

稟議には、決裁承認を得るために最低限必要な情報があります。稟議の種類や組織によって異なりますが、目的・理由・手段を明記することが必要です。これらの情報が誤っていたり、論理的でないと、相手に正しく伝わらず、相手が意義を感じないと承認を得ることはできません。

承認をもらいたい上司がつかまらない

上司の外出が多く不在がちであったり、テレワークなどで連絡が取りにくい状況の場合、そもそも上司に稟議を見てもらうことも難しい状況があります。直接話すことや電話が難しいためメールを送っても、「埋もれてしまって気づかなかった」というのは残念ですがよくある話です。

稟議の差し戻しが多い

そもそも必要な情報を記載できていなかったり、会社のルールに則った内容になっておらず何度も差し戻しされることもあります。数段階の承認を得た後に指し戻された場合は、また1からやり直しなんていうことも。そのたびに、承認までの時間が再びかかる結果となってしまいます。

稟議を紛失したり、行方不明になったりする

自分が起票した後、上司に承認を得るために不在の机にメモと共に置いておいても気づかれなかったり、自分の手を離れて承認者に回っているうちに誰が持っているかわからなくなった、というのも悩みです。仕事で使用する書類を紛失するなどあってはならないことですが、相手が上司だとなかなか言いづらいという現状もありますね。

組織に起因する、稟議が通らない・時間がかかる原因

承認経路がわからない

大きな案件や重要度が高い案件であるほど、承認に多くのステップがあったり、関連部署が多い場合はどこの部署に回せばよいのか知らなかったりすることもあります。文書やマニュアル等で明文化されていれば良いですが、なかには経験者に聞かないとわからないこともあります。これは、承認経路がわかったとしても、内部統制の面からも問題があります。

過去の稟議を参考にしたいのに、見つからない

稟議の中でも少額の購入申請や形式上の稟議の場合には、0から書き上げるよりも過去の稟議を参考にした方が効率的ですし、差し戻しの可能性も低くなります。また、組織特有のルールがありますので、経験が浅い方が稟議を書く場合には過去の稟議を参考にすることは必須といえます。

管理台帳への登録など事務作業が多い

稟議をきちんと管理するために台帳に登録して記録を残すことはとても有意義なことです。内部統制を強化することや紛失防止、検索のためのデータベースという観点からも記録に残すことは有効ですね。ですが、台帳管理などの間接業務は「承認を得る」という稟議の本質と関係ない業務です。こういった時間は、1件あたりの時間は少なくても組織全体として見ると稟議に時間がかかる要因となります。

稟議への押印が必須

従業員全員が出社して業務を行う組織では、押印にはそれほど時間がかからないでしょう。しかし近年は感染症や働き方改革でテレワークをする方も増えてきており、テレワーク環境下でも書類の押印のためだけに出社する「ハンコ出社」という言葉も生まれたほど、ハンコのための出社は問題となっています。それでもハンコの文化から抜け出せずに、押印作業がボトルネックになって承認が前に進まないこともよく聞かれる悩みの一つです。

稟議を短時間で通す3つのポイント

稟議が通らない・時間がかかる原因は上記でご紹介したようにいろいろありますが、多くの組織でどこかしら思い当たる節はあるのではないでしょうか。

ここからは、稟議を短時間で通すための3つのポイントをご紹介します。

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ポイント1:稟議の内容を見直す

情報が不足して、承認が否決されたり差し戻されると時間がかかります。稟議の内容が原因で差し戻されないように、必要な情報を網羅して相手に気持ちよく承認していただきましょう。ただし、完璧な稟議を作成しようとするあまり書類作成に時間がかかっては意味がありません。経験者に直接教えてもらったり、過去の稟議を可能な範囲で参考にしてできる限り情報を集めましょう。またなるべく組織内で過去の稟議が共有できるようになるとよいですね。このような工夫が差し戻しを減らすことにつながります。

ポイント2:関係者への根回しを行う

稟議の内容によっては、組織の業績を大きく左右することもあります。責任重大な内容を紙で突然示されたら、いくら役割とはいえ上司が警戒してしまうのも無理はありません。事前に相談したりアドバイスをもらうことで稟議の質も高くなりますし、稟議が通るまでの時間も短くすることができます。また、事前に承認をいただけそうな時間を確認しておけば、承認までの時間ロスを減らすこともできます。さらに事前に伝えておくことで、承認の滞留や紛失の防止にも効果的でしょう。

ポイント3:稟議の仕組みを変える

稟議の仕組み自体を変えることは個人では難しいことですが、自分が困っているということは組織の誰かも困っているということです。稟議が通るまでの時間を短くすることは、組織にとっても個人にとっても良いことなのでぜひ全社的に取り組みたいですね。

稟議にかかる時間を短くする電子化

稟議の仕組みを変える方法として、有効な方法の一つが稟議書の電子化です。稟議書を電子化すると、稟議の内容に関する課題と、回覧に関する課題の両方を解決することができます。

稟議の電子化とは

稟議の電子化といっても、「紙で回していた書類をPDFにしてメールで回す」だと時間短縮効果は大きくありません。稟議を電子化すること自体ではなく、より短時間で稟議を通すことが達成できなければ意味はないため、もう1段階進んだ電子化を進めましょう。そのためには稟議書のシステムを導入することが有効です。
稟議に関連するシステムとしては、電子印鑑を押せるシステム、文書保管システムなど色々ありますが、より有効なのがワークフローシステムです。

稟議を電子化するワークフローシステムの特徴

稟議の仕組みを変える方法として、有効な方法の一つが稟議書の電子化です。稟議書を電子化すると、稟議の内容に関する課題と、回覧に関する課題の両方を解決することができます。

稟議の電子化とは

ワークフローシステムとは、決まった書類(稟議や申請書)について、あらかじめ決まった経路(回送先)を設定しておけば、自動で書類が回送先に回るシステムです。
ワークフローシステムの大きな特徴は以下のとおりです。

ワークフローシステムの特徴

  • 案件の進捗がわかる
  • 誰がいつ承認したかがわかる
  • あらかじめ入力できる内容を決めることができる
  • 承認者に対して、メールやビジネスチャットに通知ができる
  • 合議内容やコメントを記録に残すことができる
  • 過去の申請内容を後から検索することができる
最近はオンプレミス型よりもクラウド型のサービスが多く、初期費用を抑えて導入することが可能です。ワークフローシステムによっては上記の機能が不十分であったりカスタマイズが難しいものもあります。まずは必要な要件が何かを整理し、自分たちの組織に必要な機能をよく把握した上で、稟議の時間を短縮するために、ワークフローシステムをぜひ取り入れていただきたいと思います。

稟議の電子化で時間短縮に成功したお客様の事例

稟議書が紙で運用されていたために、回すのに時間がかかることや、テレワークの足かせになるという課題をお持ちだったお客様が、ワークフローシステムを導入され、稟議書や申請書類の電子化に取り組まれた事例をご紹介します。
単に紙を電子化するだけでなく、社内ルールの整備などに取り組むことで大きな成果を生み出されています。詳しくは以下をご覧ください。

株式会社フェリーさんふらわあ様

オフィス移転とフリーアドレス導入をきっかけに、ワークフロー導入を推進。従来の稟議書をデータ添付し回送することでシンプルな電子化を実現。導入以前より1/5の期間短縮に成功されました。…続きを読む

アイペット損害保険株式会社様

稟議決裁・各種申請ルールの統一を目的としたスマートなワークフロー実現が急務となる中、損害保険業としてガバナンス上で必要なワークフローと業務の効率化を実現されました。…続きを読む

株式会社サンゲツ様

稟議規定の見直しにより、単純な電子捺印システムではなく、多機能で課題解決が可能なクラウド型ワークフローを選択。文書管理の問題解決と同時に、申請業務の整理による大幅な業務効率化に成功し、年間1,600時間もの短縮が見込まれる成果を得ました。…続きを読む

まとめ

稟議を早く通すためにはさまざまな課題があります。面倒だと感じることもありますが、組織や経営のためには必要な業務ですので、なくすことは難しいでしょう。従って、稟議の作成や回覧の業務を省力化し、効率化することが重要になります。稟議に関する業務を効率化するツールとして、ワークフローシステムがあります。
ワークフローシステムで稟議を電子化することには多くのメリットがあります。
詳しくは「► 稟議書を電子化するメリット・デメリット」をご覧ください。