Google Workspace の承認機能で
始めるワークフロー

目次
Google Workspace 承認機能がもたらす業務の効率化
Google Workspace の承認機能は、追加システムや追加料金なしで利用できる標準機能であり、ワークフローのオンライン化と自動化を通じて業務効率化に大きく貢献します。
具体的な貢献内容は以下の通りです。
1. 申請・承認業務のオンライン化と迅速化
申請・承認業務を Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドといった日常ツール内で簡単にオンライン化できます。紙やメールのやり取りが不要となり、ペーパーレス化と記録の一元管理が実現します。承認者はオンライン上で迅速に承認・却下・コメント・編集を行えるため、企画書や請求書などの迅速な意思決定と業務の遅延防止に繋がります。
2. 作業負担の軽減とヒューマンエラーの削減
繰り返し行う申請・承認作業を自動化することで、手作業の負担を軽減し、従業員はより重要なコア業務に集中できます。また、プロセス自動化により入力ミスや承認漏れなどのヒューマンエラーを防ぎ、業務全体の正確性と信頼性が向上します。
3. 業務プロセスの可視化と透明性の向上
承認履歴の閲覧機能により、どの書類が誰に承認・却下されたかをタイムスタンプ付きで簡単に確認できます。ワークフローの進捗状況をリアルタイムで把握できるため、ボトルネックを即座に特定でき、業務管理がスムーズに行えます。この履歴の一元管理は、透明性を高め、コンプライアンス運用にも貢献します。
4. 柔軟な承認プロセスの管理
標準機能ながら、複数の承認者を設定することが可能であり(ただし1段階同時承認のみ)、チームやプロジェクトに応じた柔軟な承認フローを実現できます。書類の承認が Google Workspace 内で完結するため、従業員間のコミュニケーションも円滑になります。
5. 具体的な活用事例による効率化
企画書や提案書、進捗報告書などの迅速な意思決定や、就業規則などの全社員への承認状況の把握、請求書の処理遅延防止など、多岐にわたる業務で効率化を実現します。
Google Workspace の承認機能は、追加コストなしでワークフローの電子化を始められるため、業務効率と精度を向上させつつコストを抑えられる非常に有益なツールです。
Google Workspace の承認機能が利用できる業務の具体例
業務 |
効率化の貢献 |
企画書や提案書の承認 |
リアルタイムでの修正やコメントが可能となり、迅速な意思決定を支援します。 |
契約書や規約の承認 |
就業規則などの全社員への承認を Google Slides/Docs で共有し、承認状況の把握やリマインダー送信をスムーズに行えます。 |
マニュアルやガイドラインの承認 |
品質管理文書の承認プロセスを管理し、修正依頼や承認履歴を記録することで透明性を保ちます。 |
報告書や議事録の承認 |
進捗報告書や議事録の確認・承認がオンラインで簡単に完結し、プロジェクト管理を効率化します。 |
請求書の承認 |
承認済みの請求書を迅速に処理に移せるため、業務の遅延を防ぎます。 |
Google Workspace 承認機能の利用手順
では実際に、Google Workspace の承認機能はどのように利用するのでしょうか。以下からは、具体的な利用手順をご説明します。
1. 申請書フォーマットの準備
Google ドキュメントで申請書のフォーマットを作成します。既存の申請書がある場合は、それを Google ドキュメントで作成し、分かりやすいファイル名を付けて共有します。誤ってフォーマットが変更されないよう、閲覧権限のみで共有してください。
2. フォーマットのコピー
申請内容に合わせてフォーマットを選択し、Google ドキュメントで開きます。閲覧権限のみの場合は、[ファイル] > [コピーを作成] を選択して申請書を自分のフォルダにコピーします。ファイル名の末尾に申請日や申請者名を追加するなど、ルールを決めておくと管理しやすくなります。
3. 申請内容の記入
コピーしたフォーマットに申請内容を記入します。Google ドキュメントの通常の編集方法と同じです。
4. 承認の依頼
記入が完了したら、[ファイル] > [承認] を選択します。「承認のリクエスト」ウィンドウが表示されるので、「リクエストを送信」 をクリックして承認申請を行います。
5. 承認のリクエストを送信
「承認のリクエスト」というウィンドウが開くので、承認に関する設定を行いましょう。
承認者 | 承認を依頼する相手のメールアドレスや名前を入力して選択します。複数人の指定が可能です。 |
---|---|
メッセージ | 申請内容を補足するメッセージを入力できます。申請フォーマットやファイル名で内容が明確な場合は、空欄でも問題ありません。 |
期限を追加 | 承認の期限を設定できます。「期限の追加」をクリックしてカレンダーから日付を選択してください。 |
承認者にこのファイルの編集を許可する | ・チェックあり: 申請内容の修正や差し戻し理由の記入が必要な場合に選択します。 ・チェックなし: 承認または却下の二択で運用する場合に選択します。 |
承認リクエストを送信する前にファイルをロックする | ・このチェックを入れると、承認プロセス中にファイルが編集されるのを防げます。特に複数の承認者がいる場合、途中でファイルが編集されると承認プロセスがやり直しになるため、申請内容の修正が不要であればロックしておくことでミスを防げます。 |
すべての設定が終わったら、「リクエストを送信」をクリックします。
6. アクセス権の付与
「承認者にこのファイルの編集を許可する」がチェックされていた場合、承認者にアクセス権を付与する画面が表示されます。承認者として指定した人が編集者として選ばれていることを確認し、「送信」をクリックしましょう。
7. 画面のリロード
「承認リクエストを送信する前にファイルをロックする」がチェックされていた場合、ドキュメントの再読込を促す画面が表示されます。「リロードする」をクリックして、閲覧表示に切り替えます。
8. 承認の操作
承認者として指定された人には、新しい承認がリクエストされたことを通知するメールが届きます。文中にあるリンクをクリックすると承認待ちのドキュメントが表示されるので、内容を確認します。
申請書の内容に問題がなければ、「承認」をクリックします。「リクエストを承認しますか?」という確認画面が表示されるので、必要に応じてメッセージを記入し、「承認」をクリックします。
申請内容に不備があれば、「拒否」をクリックします。「リクエストを不承認にしますか?」という確認画面が表示されるので、却下の理由などを記入して「拒否」をクリックします。却下されたドキュメントは、申請者が修正して新たな承認プロセスを開始することができます。また、承認プロセスはメッセージとともに履歴として残るので、修正指示など簡単なやりとりも可能です。
9、承認履歴の確認
承認の履歴は、「ツール」内の「アクティビティ ダッシュボード」または、承認依頼者に届くGmailから確認できます。
シンプルなワークフローは Google Workspace の承認機能で十分
ここまで Google Workspace の承認機能について、できることや操作方法をひと通り見てきました。この機能の素晴らしい点は、別製品を追加することなく、紙でやりとりしていた申請をオンライン化できる点にあります。組織階層が複雑ではない、小規模な組織ならこれで十分というシチュエーションもあるはずです。一方で、専用製品と比べると機能面で見劣りするのも事実です。
Google Workspace でできること | ワークフロー専用製品ならできること |
---|---|
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比較表を見てわかるとおり、Google Workspace の承認機能は、上長が確認した履歴を残すというワークフローの基本機能のみを備えています。自分の部署の上司だけが承認すればいい見積書、議事録、日報などには十分使えるでしょう。またGoogle Workspace ユーザーなら追加コストなしに使えることから、ワークフローの電子化にトライしたり、実際にワークフローに触れながら自社に必要な機能を検討するためにも役立つはずです。
Google Workspace 承認機能の限界:本格的な運用に必要な機能とは?
Google Workspace の承認機能は、追加費用なしで手軽にワークフローの電子化にトライできる点が最大の魅力です。しかし、これは「上長が確認した履歴を残す」というワークフローの基本機能に留まります。
組織の規模拡大や複雑な業務フローに対応しようとすると、以下のような限界が生じます。
課題となる点 |
Google Workspace 標準機能の仕様 |
ワークフロー専用製品で解決できること |
承認段階の柔軟性 |
1段階、同時承認のみという制限がある |
課長→部長→取締役など、複数段階(多段)の承認者を設定できる |
承認経路の設定工数 |
承認をリクエストするたびに承認者を都度設定する必要がある |
一度設定した承認ルートを都度設定することなく、繰り返し利用できる |
進捗管理の容易さ |
承認ステータスはドキュメントのバーやメールから確認できるが、一覧はない |
承認待ち一覧など、進捗を容易に確認できる専用画面が用意されている |
承認の多様性 |
承認/却下/コメント/編集が主な操作 |
合議、条件分岐、多数決など、複雑な承認経路設計(ロジック)に対応できる |
単純な承認だけなら便利な Google Workspace の承認機能ですが、より柔軟な運用を目指し、本格的にワークフローを活用するステップに進む際には、ワークフロー専用の製品を検討する方がいいでしょう。
その選択肢の一つが、Google Workspaceとシームレスに連携するクラウドワークフローシステム、グルージェントフロー(Gluegent Flow)です。グルージェントフロー は、Google Workspace の承認機能でワークフロー電子化に慣れた方が、そのメリットを活かしながら、より専門的で柔軟な運用を目指す際に推奨されるソリューションです。
本格的なワークフローなら グルージェントフロー がおすすめ
Google Workspace の承認機能では対応しきれない複雑なワークフローや、全社的なデジタル化を目指す場合、グルージェントフロー のような、ワークフロー専用の製品を検討することが推奨されます。
グルージェントフロー は、柔軟な承認経路設計や、紙の申請書を再現するフォーム作成機能を備えたクラウドワークフローシステムです。
• 柔軟な承認経路設計への対応: グルージェントフロー は、課長→部長→取締役のような複数段階の承認者を設定できるほか、最適な承認フローを実現するための合議、条件分岐、多数決といった複雑なロジックに対応しています。
• 進捗管理の強化: 承認待ち一覧など、進捗を容易に確認できる画面が用意されており、業務管理をスムーズに行えます。
• 柔軟な申請書作成: ノーコードで簡単に申請書を作成でき、柔軟なカスタマイズが可能です。
グルージェントフロー への移行がスムーズな理由:Google Workspace 連携の優位性
Google Workspaceの承認機能でワークフロー電子化に慣れた後、より柔軟な運用を目指して グルージェントフロー に移行する場合、Google Workspaceとのシームレスな連携により、導入・運用負荷を大幅に抑えられます。
- ユーザー情報の活用と管理工数削減: グルージェントフロー は、Google Workspace と連携し、ユーザー情報をそのまま活用できます。これにより、ワークフロー専用システムのためにユーザー情報を追加で管理する工数が発生しません。
- 承認済みデータの連携・蓄積: グルージェントフロー は、承認済みの情報をGoogle ドライブや Googleスプレッドシートに書き出す機能を備えています。これは、Google Workspace の承認機能で承認履歴がドキュメント内に記録される運用と同様に、承認済み情報を Google Workspace 環境内に蓄積・活用できることを意味します。
- 使い慣れた環境での操作性: Google Workspace とシームレスに連携することで、ユーザーは使い慣れた環境で稟議申請や承認作業を行えるため、新しいシステムに対する学習コストや抵抗感を軽減できます。
グルージェントフロー を活用することで、稟議申請や承認作業の迅速化、書類紛失の防止、承認状況の可視化による業務効率の向上が実現します。また、承認履歴の管理やアクセス権限設定により、コンプライアンスも強化されます。